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【エッセイ】『スパイファミリー』の人気と「明るい擬似家族」のヒット作

エッセイ

最近、少年ジャンプ+で連載されている遠藤達哉氏のホームコメディ漫画『SPY×FAMILY』が、異常に好調なスタートダッシュを切っている。

少年ジャンプ+というと、2015年に創刊されたジャンプの漫画配信サイトおよびアプリ。
『SPY×FAMILY』もそこで無料公開されている漫画のひとつだが、連載開始からわずか1年の単行本4巻時点で、累計発行部数が300万部を超える人気になっている。

累計発行部数300万部というと、例えば週刊少年ジャンプで連載されていた『鬼滅の刃』は、連載開始から2年半の13巻時点で到達した数字だ。

ジャンプ本誌とは刊行ペースの違いはあるものの、4巻時点での比較をすると、『僕のヒーローアカデミア』は150万部、『約束のネバーランド』は110万部、先日アニメ化が発表された『呪術廻戦』も110万部にすぎない。

数少ない例外は、ジャンプ史上で最もスタートダッシュに成功したと言われる『暗殺教室』で、こちらは4巻時点で360万部に到達した。
少年ジャンプ+の編集長曰く、『SPY×FAMILY』はその『暗殺教室』に次ぐ勢いで売れているのだそうだ。

『SPY×FAMILY』について簡単に紹介すると、偽装家族を作ることを命じられた凄腕スパイの主人公が、孤児でエスパーの少女を娘に、暗殺者の女性を妻に迎えるスパイアクションのホームコメディだ。
互いに素性を隠したまま仮初の家族としてスタートする3人が、次第に「擬似家族」から「本物の家族」へとなっていく過程が描かれる。

で、『SPY×FAMILY』の人気の要素としては、血の繋がりのない「擬似家族」の物語が、特に女性層に刺さっているのだそうな。

編集者の林士平氏が分析するところによると、「現代社会では家族のつながりの希薄化が進行し、「仲が良い家族への憧れ」を持つ人が増えていると思います。だからこそ、血縁がなくとも仲良く暮らしている家族の物語は、時代の要請と合致しているし、観客や読者に希望を与えるのだと思います」とのこと。

まぁ実際、擬似だが仲の良い家族の物語をコメディ多めで明るく読みやすく描いているので、女性に限らず大人に人気が出るのは納得ではある。個人的には娘の可愛らしさも大きいと思うが。

明るい擬似家族のヒット作といえば、2019年の本屋大賞を受賞した小説の『そして、バトンは渡された』もそうか。

『そして、バトンは渡された』は、父親が3人、母親が2人おり、現在は血の繋がりのない父親に育てられている女子高生を主役とした物語。

こちらも全体的に明るい話で読みやすいだが、「仲の良い擬似家族」+「明るく読みやすい」は今の時代でヒットしやすい条件なのだろう。

いやそもそも擬似家族のホームコメディといえば、『よつばと!』という名作漫画が存在していたか。
連載開始は2003年なので17年前。四捨五入すると約20年前だ。もうそんなに年月が経ったのかと気づき、愕然として唖然として呆然とする。

それはともかく『よつばと!』は、明るく元気な5歳児「よつば」と、育ての親の「とーちゃん」を中心としたハートフル日常コメディ。
「よつば」はどこかの外国で拾われた子だが、そんな暗そうな設定はあまりストーリーに関係せず、5歳児のほのぼのとしたリアルさを感じる日常が描かれていく。

漫画好きで知らない人はあまりいない作品かと思うが、とても面白いので、もしまだ読んだことがない人が存在するなら一度読んでおくことを強くオススメする。

気分が落ち込んだときでも、これを読めばたいていの場合は立ち直れるだろう。たぶんきっと。

とても残念なことに、電子書籍化はされていない。
なのでいまどき紙の本で購入するしかないのが唯一最大の欠点か。

この作者のあずまきよひこ氏のように、一部の大ヒット作家が時代に逆行して頑なに電子書籍化に反対している。しかし読者からすると選択肢を減らされるのは余計なことでしかないので、素直に電子書籍で配信してほしい。
こちとらもう紙の本は買っていないのだ。

『はじめの一歩』の森川ジョージ氏や、『20世紀少年』などの浦沢直樹氏にも言いたい。
井上雄彦氏は最近『リアル』の電子書籍化を解禁したが・・・・・・。

まぁ話が脱線してきたのでおしまい。

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