WEB小説の異世界転生ブームもあり、最近は漫画も異世界ファンタジー(ハイファンタジー)作品が脚光を浴びている。
というわけで、そんな異世界モノの中でも特にオススメな良作を紹介していこう。
ちなみに尾田先生も愛読している『異世界おじさん』はハイファンタジーに分類していいのか悩んだが、ここでは除外しておく。
でも名作なのでリンクは貼っておこう。
おすすめ異世界ファンタジー漫画
ダンジョン飯
モンスターを調理するダンジョンファンタジー・グルメ漫画。
ダンジョンで金や仲間を失ってしまった冒険者の主人公たちは、死んだ仲間を蘇生するため再びダンジョンに挑もうとするも、金がなくて食料を用意できない。
そこで主人公は、モンスターを食料にしながら進むことを決意する。
魔物料理に精通したドワーフを仲間に加え、スライムもバジリスクもミミックも、そしてドラゴンだって料理していく。
剣と魔法の王道ファンタジーでありながらモンスターの設定にリアリティを追求しているため、作中に出てくる料理はまるで本物のように美味しそうで、世界観に説得力がある。
戦闘もモンスターのリアルな設定を活かして、生物としての弱点を突いていく戦い方になっているので、こちらも大人向けのリアルさで面白い。
料理好きもファンタジー好きも、どちらも楽しめる傑作だ。
またついでに紹介すると、作者の九井諒子氏の短編集もリアルなファンタジー世界を描いていてオススメ。
『竜の学校は山の上』と『竜のかわいい七つの子』は現代ファンタジーなどの日常を舞台にした、心に残るちょっぴりいい話。
そして『ひきだしにテラリウム』は通常の短編よりさらに短いショートショート集で、SFコメディといった感じ。
図書館の大魔術師
本の力で世界を繋ぐビブリオファンタジー漫画。
本好きだが貧しく、種族的にも差別された少年が、魔術師の司書と出会ったことで運命が動き出す物語。
司書に助けられ憧れた少年は、大陸全ての本が揃うと言われる、本の都にある中央図書館の司書を目指していく。
本と図書館をテーマとした作品で、それに魔術やファンタジー種族を加えた独自の世界観を構築しており、重厚で読み応えのある設定が魅力的。
また『乙嫁語り』の森薫氏のように、装飾などに対する緻密な描き込みも凄まじく気合が入っていて、絵も楽しめる。
ストーリーも最初の1巻で綺麗に話をまとめていて全体的に完成度が高いので、1巻だけでも読んでみることをオススメする。
とんがり帽子のアトリエ
美しく描かれた魔法世界の正統派ファンタジー漫画。
魔法が存在する世界で魔法使いにあこがれを抱いている少女はある日、見てはいけないとされる魔法使いが魔法を使う方法を目撃する。
しかしそのことがきっかけで事件を起こしてしまい、例外的に魔法使いの弟子になり、同じく弟子の少女たちと魔法使いの道を目指していくこととなる。
特別なインクで魔方陣を描くことで魔法を使えるという設定で、どんな魔法になるかは描かれた魔法陣次第。
そんな独特の魔法世界で、創意工夫して魔法を使っていく様が面白い。
そして何より絵が美しく、その美麗な作画で描かれる世界観の雰囲気がとても良い。読者が魔法世界に入り込める画力がある。
児童小説のようなファンタジー世界の雰囲気が好きな人にオススメ。
魔法使いの嫁
(異世界と言っていいかは微妙だが)
人間の少女と人外の魔法使いの異類婚姻譚ファンタジー漫画。
身寄りも生きる希望も持たない少女を買い取ったのは、ヒト為らざる魔法使いだった。
そうして少女は魔法使いの弟子兼花嫁として、魔法の世界で新たな人生を歩んでいくこととなる。
現代イギリスの裏側で、魔法使いや魔術師、妖精やドラゴンといったファンタジーが人知れず存在する世界を描いた物語。
『ハリー・ポッター』のように現代社会と魔法世界が融合したローファンタジー寄りの作品だが、現代社会の話はほとんど登場せず、少女が不思議な魔法の世界の住民と交流する話がメインになっている。
そうした過程で生きる気力が少ない薄幸の少女と、人間に憧れる人外の魔法使いの心の成長が描かれ、スロースタートながらもジワジワと面白くなっていく。
ヘテロゲニア リンギスティコ
人間の研究者が、言語や文化の異なるモンスター種族たちと交流する異種間コミュニケーション漫画。
主人公は怪我をした教授に代わり、魔界でモンスターとのコミュニケーション調査を任された新人研究者。
ガイドのハーフワーウルフの少女と共に、ワーウルフやスライム、リザードマン、ゴブリンといった異種族たちの文化を調べる旅をする。
ワーウルフは匂いから情報を読み取る形で会話する、スライムは振動で交流する、リザードマンの舌は味をしないので見た目や感触で食物を評価する・・・・・・。
などなど、こちらのモンスターたちは人間とは異なる発声で話し、違う文化を持っているため、意思疎通がなかなか大変。
そうした状況で主人公が苦労しながらも頑張って交流し、異文化に触れていく様が実にユニークで面白い。
リアルな生活観のある異種族ファンタジー世界なので、『ダンジョン飯』のような漫画が好きな人なら気に入るのではないだろうか。
異種族レビュアーズ
風俗店を通してファンタジー世界の異種族間の身体や感性の違いを描いたコメディ漫画。
好みの異なる人間、エルフ、獣人、天使などが様々な異種族の風俗店を体験し、ファミ通風のクロスレビューで感想を書いていく。
例えば人間は50歳くらいの人間の女性よりも、500歳でも見た目が若いエルフの女性を好む。
しかしエルフにとっては見た目が若くても500歳のエルフよりも、50歳の人間のほうが生命力が若くて好みだったりする。
そういった独自設定の異種族間の好みや身体の違いをコメディとして面白おかしく表現しており、とにかく発想が天才的。
ちなみに成人誌ではなく一般誌です。念のため。
ライドンキング
某プーチンっぽい大統領が異世界で冒険者になるファンタジーアクション漫画。
武術・格闘技の達人であり、国民から絶大な支持を受けている終身大統領アレクサンドル・プルチノフは、とある事故が原因で異世界へ転移してしまう。
しかし大統領はあまり気にすることなく異世界の地で冒険者として活動していき、持ち前の強靭な肉体と正義感で弱き者を助けていく。
ストーリーや世界観はテンプレの異世界転生(転移)ファンタジーだが、それを実力のある漫画家が描くとここまで面白くなるのかという良い見本。
高い画力から繰り広げられるアクションシーンは迫力満点で、長年格闘技漫画を描いていた作者なだけに、格闘技や筋肉を描写するのがとても上手い。
また主人公は大人で人格者なため不快感がなく、寧ろその行動にはとても好感が持てる(モデルはどう見てもプーチンだが)。
異世界ファンタジー好きなら安心して読めるクオリティだ。
魔法使いの印刷所
異世界でコミックマーケットならぬマジックマーケットを開催するファンタジーコメディ漫画。
コミケ帰りに異世界へ飛ばされてしまった女性が、元の世界に帰る転移魔法を求めて魔導書の即売会「マジックマーケット」を立ち上げる。
コミケあるあるを中世ファンタジー風にアレンジしており、分かる人にはところどころクスっとするネタがある。
また即売会を主催する側の苦労や、参加者たちの熱意も伝わってくる。
便利屋斎藤さん、異世界に行く
冒険者たちのダンジョンでの日常を綴ったショートストーリー漫画。
異世界へ転移してしまった鍵屋の青年は、鍵屋として培った開錠能力などを活かし、ダンジョンを探索する冒険者の一員として仲間を日々サポートする。
主人公は何ら特別な力を持たない一般人だし、ストーリーにも大きな盛り上がりがあるわけではない。
しかし力がないなりに仲間の役に立とうとする主人公や、その仲間たち、はたまた他の冒険者パーティの日常にほっこりする優しいエピソード集になっている。
まさに大人向けの渋い良作。
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