第161回芥川賞・直木賞が発表! 受賞作は『むらさきのスカートの女』『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』

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第161回芥川賞・直木賞の受賞作が発表されたので紹介。

まず新進作家の最も優秀な純文学短編作品に贈られる「芥川龍之介賞」を受賞したのは、今村夏子氏の『むらさきのスカートの女』。

近所に住む「むらさきのスカートの女」のことが気になる〈わたし〉こと「黄色いカーディガンの女」が、彼女とともだちになるため、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導するが・・・・・・という流れから、意外な結末で終わる世にも奇妙な物語。

ちなみに今回の芥川賞は、前回に引き続き社会学者タレントの古市憲寿氏がノミネートされたことで注目されたが、受賞にはならなかったようだ。

そして、最も優秀な大衆文芸作品に贈られる「直木三十五賞」を受賞したのは、大島真寿美氏の『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』。

人形浄瑠璃作者、近松半二の生涯を描いた物語となっている。

第161回芥川龍之介賞

受賞作 今村夏子「むらさきのスカートの女」

むらさきのスカートの女
朝日新聞出版
近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導する。『あひる』『星の子』が芥川賞候補となった話題の著者による待望の最新作。

ノミネート

高山羽根子「カム・ギャザー・ラウンド・ピープル」

カム・ギャザー・ラウンド・ピープル (集英社文芸単行本)
集英社
おばあちゃんは背中が一番美しかったこと、下校中知らないおじさんにお腹をなめられたこと、自分の言いたいことを看板に書いたりする「やりかた」があると知ったこと、高校時代、話のつまらない「ニシダ」という友だちがいたこと……。大人になった「私」は雨宿りのために立ち寄ったお店で「イズミ」と出会う。イズミは東京の記録を撮りため、SNSにアップしている。映像の中、デモの先頭に立っているのは、ワンピース姿の美しい男性、成長したニシダだった。イズミにつれられてやってきたデモの群衆の中、ニシダはステージの上から私を見つけ、私は逃げ出した。敷き詰められた過去の記憶とともに、私は渋谷の街を思い切り走る、ニシダにつかまらないように。

古市憲寿「百の夜は跳ねて」

百の夜は跳ねて
新潮社
「格差ってのは上と下にだけあるんじゃない。同じ高さにもあるんだ」。高度200メートル。僕はビルの窓を拭く。頭の中で響く声を聞きながら。ある日、ふとガラスの向こうの老婆と目が合い……。境界を越えた出逢いは何をもたらすのか。無機質な都市に光を灯す「生」の姿を切々と描き切った、まったく新しい青春小説。

古川真人「ラッコの家」

李琴峰「五つ数えれば三日月が」

第161回直木三十五賞

受賞作 大島真寿美「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」

渦 妹背山婦女庭訓 魂結び (文春e-book)
文藝春秋
江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章。末楽しみな賢い子供だったが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、芝居小屋に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる。近松門左衛門の硯を父からもらって、物書きの道へ進むことに。弟弟子に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書かずにはおられなかった半二。

ノミネート

朝倉かすみ「平場の月」

平場の月
光文社
朝霞、新座、志木。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。元男子の青砥も、このへんで育ち、働き、老いぼれていく連中のひとりである。須藤とは、病院の売店で再会した。中学時代にコクって振られた、芯の太い元女子だ。50年生きてきた男と女には、老いた家族や過去もあり、危うくて静かな世界が縷々と流れる。心のすき間を埋めるような感情のうねりを、求めあう熱情を、生きる哀しみを、圧倒的な筆致で描く、大人の恋愛小説。

窪美澄「トリニティ」

トリニティ
新潮社
どんなに強欲と謗(そし)られようと、三つとも手に入れたかった――。50年前、出版社で出会った三人の女たちが半生をかけ、何を代償にしても手に入れようとした〈トリニティ=かけがえのない三つのもの〉とは? かつてなく深くまで抉り出した、現代日本を生き抜く女たちの夢と祈り――。平成の掉尾を飾る傑作!

澤田瞳子「落花」

落花
中央公論新社
将門という男は、なぜかくも激しく不器用なのだ!音楽に取り憑かれ、「至誠の声」を求め旅に出た仁和寺の僧・寛朝。荒ぶる坂東の地で出会ったのは、古き法に背き、ならず者と謗られる人物だった――。

原田マハ「美しき愚かものたちのタブロー」

美しき愚かものたちのタブロー (文春e-book)
文藝春秋
日本に初めて「美術館」という概念をもたらした破天荒な実業家、松方幸次郎。戦火のフランスで絵画コレクションを守り抜いた孤独な飛行機乗り、日置釭三郎。そして、敗戦国・日本にアートとプライドを取り戻した男たち――。奇跡が積み重なった、国立西洋美術館の誕生秘話。

柚木麻子「マジカルグランマ」

マジカルグランマ
朝日新聞出版
正子は75歳の元女優。携帯電話のCMで再デビューを果たし、順風満帆かと思いきや、ある出来事をきっかけに事務所を解雇され、急遽お金が必要な状況に。周りを巻き込み、逆境を跳ね返す生き方はマジカルグランマ(理想のおばあちゃん)像をぶち壊す!

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