漫画は子供の頃から少年ジャンプを中心に読んでいたけれど、今でもブログで電子書籍を紹介していることもあって、日々多くの漫画を読みあさっている。
というわけでそんな私がいままでに読んだ漫画の中でも、特に名作・傑作としてオススメしたい作品を50タイトルに厳選して紹介しよう。
作品はKindleで読めるものに限るが、バトルからスポーツ、ラブコメ、ギャグなど、なるべく幅広いジャンルを扱っていく。
- 【完結済み】
- 【1位】ヒカルの碁
- 【2位】鋼の錬金術師
- 【3位】ドラゴンボール
- 【4位】ナルト
- 【5位】寄生獣
- 【6位】めぞん一刻
- 【7位】デスノート
- 【8位】アイシールド21
- 【9位】それでも町は廻っている
- 【10位】岳
- 【11位】コウノドリ
- 【12位】ダイの大冒険
- 【13位】幽遊白書
- 【14位】ピンポン
- 【15位】北斗の拳
- 【16位】金田一少年の事件簿
- 【17位】GANTZ
- 【18位】シグルイ
- 【19位】プラネテス
- 【20位】ジョジョの奇妙な冒険(完結は7部まで)
- 【21位】グラップラー刃牙
- 【22位】蟲師
- 【23位】嘘喰い
- 【24位】JIN
- 【25位】攻殻機動隊
- 【26位】BLAME!
- 【27位】孤独のグルメ
- 【28位】もやしもん
- 【29位】ピアノの森
- 【30位】こち亀
- 【連載中】
【完結済み】
【1位】ヒカルの碁
一大囲碁ブームを巻き起こした少年ジャンプの傑作囲碁漫画!
ヒカルは佐為にせがまれて嫌々ながらも碁を始めるが、同い年でプロ級の実力を持つ少年・塔矢アキラに刺激され、次第に碁の魅力に目覚めてゆく。
画像は『ヒカルの碁』13巻。囲碁のルールがわからなくても楽しめる演出になっている。
最強棋士の霊に取り憑かれた少年の成長と活躍が巧みに描かれる少年ジャンプで異色の囲碁漫画。
ジャンプ作品の中でも特にストーリーの完成度が高く、内容的にも子供から大人まで幅広い層にオススメできる。
囲碁はルールがわからない?
大丈夫、ルールを知らなくても一切まったく問題ない。
ほったゆみ氏と小畑健氏の名コンビが白熱の対局を演出してくるため、ルールがわからなくても楽しめるようになっている。
このコンビは「何をやってるのかわからないけどスゴイ!」という描写が驚くほど上手い。
そういった描写もあって、さながらバトル漫画のような熱い展開になっている。
またストーリーも熱く、ライバルたちとの切磋琢磨を通して主人公が成長していく過程が丁寧に描かれる。
初心者の主人公は最初、最強囲碁棋士の霊の力(チート)を使って勝つのだが、同い年のライバルに感化され、そのチートを使わずに自分の力でイチから強くなることを決意する。
この「チートを与えられたのにそれを使わず、努力して自分の力で強くなる」というのは、いま考えると変則的で面白い展開だ。
そして登場するプロを目指す少年少女たちや、プロの世界で生きる棋士たちひとりひとりに人間味があり、それゆえに感情移入する人間模様にもなっている。
囲碁・将棋などのマインドスポーツを題材とした作品で、これ以上のものは今後もう出ないだろうと思える傑作だ。
【2位】鋼の錬金術師
錬金術師たちのスチームパンク・ダークファンタジー!
しかしその代償は大きく、兄は片手と片足を、弟は全身を失ってしまう。
そうしてふたりは失ったものを取り戻すため、伝説の「賢者の石」を探す旅に出る。
画像は『鋼の錬金術師』1巻。主人公の兄弟2人。
手塚治虫文化賞新生賞や星雲賞を受賞したファンタジー漫画。
スチームパンクな近代世界を舞台に、錬金術師兄弟の冒険と戦いが描かれる。
早い話が錬金術という名の異能力バトル。
ただしバトルがメインというよりも、国を揺るがす壮大な陰謀に巻き込まれ、それに立ち向かうというサスペンス要素が強い。なので大人でも楽しめる。
そしてそのストーリーの完成度がこれまた高い。
全27巻もの長編でありながら、最初から最後まで綺麗に話が繋がっている。
主人公たちの強さもインフレしないし、登場するキャラクターはモブキャラを含めてみんな最後まで活躍する。
「こんなモブキャラがここまで活躍するなんて・・・・・・」とホント驚かされる。
さらに付け加えるなら、少年漫画なのにやたら大人たちの生き様がカッコイイ。
少年漫画というよりオッサン漫画ではなかろうか。
とかく、キャラクターを含めて無駄のないストーリーには感服。
【3位】ドラゴンボール
アクション描写世界一のバトル漫画金字塔!
西の都からやってきた科学少女・ブルマと出会い、7つ揃えたらどんな願いでも叶う「ドラゴンボール」を探す冒険の旅に出る。
画像は『DRAGON BALL カラー版 フリーザ編』7巻。読みやすいアクションが魅力。
いまなお世界中で絶大な人気を誇る少年ジャンプ作品の代表作。
トーナメントなどを通してひたすらに強敵との死闘を繰り広げる王道中の王道バトルが描かれる。
説明不要なくらいには有名な漫画かと思うが、その真の魅力は読みやすいアクション描写にある。
ごちゃごちゃ描き込まずに無駄を省き、さらにコマ割りや構図も読みやすさ最優先で構成されている。
そのためどんなバトルもスラスラ読める。
ここまで徹底的に読みやすく、且つスピード感と迫力があるバトル漫画はほかに見たことがない。
「世界一上手いバトル漫画」と言っても過言ではないだろう。
ついでに言えば、鳥山明氏はキャラクターデザインやデフォルメ技術も抜きん出て上手い。
この人の絵はセンスの塊で心底感心する。
まぁデザイン云々は別にしても、バトル漫画が読みたいならまずコレだ。
(カラー版は分かれていてややこしいが、この上から順に読んでいけばOK)
【4位】ナルト
忍者たちが己の信念をかけて戦うファンタジー忍術バトル!
孤児の少年・ナルトは落ちこぼれの忍者で、そのうえ出生の秘密により大人たちから差別される悲惨な境遇にいた。
しかしナルトは諦めない心でまっすぐに成長し、その努力と行動で次第に周囲を認めさせてゆく。
画像は『ナルト』4巻。高い画力によるアクション描写が魅力のひとつ。
72巻も続いた長寿のファンタジー忍術バトル漫画。
忍者という設定と、かっこいいアクションシーンから、海外でも高い人気を誇った。
ストーリーもあれだけの長編に関わらず綺麗にまとまったが、何よりバトルが素晴らしい。
作者の岸本斉史氏はこれがデビュー作にもかかわらず序盤から画力が高く、そしてアクション描写がとても上手い。
そのアクションの上手さを存分に活かしており、序盤から終盤まで名バトルの宝庫で、バトル漫画としては『ドラゴンボール』にも決して引けを取らない。
また和風ファンタジーの作品はリアル寄りな刀剣アクションになりがちなところを、この漫画では忍術を魔法のように使い、ド派手なバトルに魅せている点も上手いと思う。
実に少年ジャンプらしさが良く出たバトル漫画で、『ドラゴンボール』の後継作と言っても過言ではない。
現在は続編の『ボルト』が連載中。
【5位】寄生獣
人間を捕食する寄生生物との戦いと共生を描いたSFアクション!
日本の高校生の少年・泉新一も寄生されてしまうが、寄生先が右手だったために命を取られずにすむ。
そしてそれから右手の寄生生物との奇妙な共生関係が始まる。
画像は『寄生獣』1巻。謎の寄生生物に寄生される主人公。
「完成度の高い漫画」の話題になるとよく名前が挙がる岩明均氏の名作SFアクション漫画。
星雲賞受賞や評論家などからの高い評価を得ながらも、ハリウッドと契約したのに映像化されず、しかも契約のせいで長いこと他とメディアミックスができなかった不運な作品だったりもする。
物語は謎の寄生生物が突如飛来し、人間の身体に侵入し脳を乗っ取り、表向きは人間の姿をしながらも、裏では他の人間を食い殺し始めることから始まる。
普通の高校生だった主人公も寄生されてしまうが、寄生先が右手だったがために脳を乗っ取られずに済む。
しかしながら右手の寄生生物と共生しなくてはいけなくなり、そのうえ主人公はそのことを周囲に隠しながら、人間を捕食するほかの寄生生物たちと戦っていくことになる。
こうした「人間そっくりの化物たちが社会に潜んでいる」「人間の主人公がその化物の側になってしまう」というシチュエーションは、『東京喰種』や『亜人』など、その後の作品に大きな影響を与えた。
だけどこの漫画は暗い展開になりそうな不幸な始まりながらも、右手の「ミギー」が愛着の持てるユニークなキャラなため、むしろ熱いバディものになってくるのが良いところ。
食物連鎖の頂点に立つ人間が被食者の立場になるとか、親子愛とか、哲学とか、そういった要素も詰め込まれて深いお話でもあるが、シンプルに「人間と人外のバディによるバトルアクション」としてみても面白い。
絵は古臭いけど漫画史に残る完成度の高い作品なので、一度は読んでおくことをオススメする。
【6位】めぞん一刻
浪人生と美人管理人のアパートラブコメ金字塔!
そこに美人管理人・音無響子がやって来たことで、五代の恋物語がはじまる。
画像は『めぞん一刻』1巻。アパートを舞台としたラブコメ。
巨匠・高橋留美子氏による青年誌でのラブコメ漫画。
数々のヒット作を生み出した高橋留美子氏の作品の中でも最高傑作として推す声が多いし、個人的にもそう思っている。
物語は浪人生の主人公が住むオンボロアパートに、年上の美人管理人がやって来ることから始まる。
主人公は管理人さんにひと目惚れするのだが、騒がしいアパートの住人たちに邪魔されてなかなか上手くいかない。
しかも管理人さんは夫を亡くした未亡人で、その夫のことを忘れられずにいる。
そんな「最大の恋敵は死人」という困難な恋愛模様が描かれる。
携帯電話がない時代だからこそできる主人公とヒロインのすれ違いと誤解から始まるお話が多く、それがとてももどかしさを感じる。
そのうえヒロインは嫉妬深い面倒な性格をしていて、それがより一層もどかしさを加速させる。
しかしそういった一歩間違えたら読者に嫌われそうな要素が絶妙なバランスで成立している。だから面白い。
またラブコメには珍しく終わり方も完璧。
終盤怒涛の展開からの納得のラストなので、ラブコメが好きなら間違いなくオススメだ。
【7位】デスノート
名前を書いた相手を殺せる「死神のノート」を巡った天才同士の頭脳バトル・サスペンス!
それを拾った日本一の天才高校生・夜神月は、ノートを使って犯罪者を心臓麻痺で裁き、犯罪のない世の中を作ろうとする。
一方でその殺人を阻止しようと、誰も名前を知らない世界一の名探偵が動き出す。
画像は『DEATH NOTE』3巻。監視の目を欺くため、ポテチを食べるふりをしながら犯罪者を殺す有名なシーン。
世界的な社会現象にもなった頭脳戦サスペンス漫画。
映画の出来も良かったが、原作の漫画も当然名作だ。
本作のルールは意外とシンプルで、主人公は殺人の証拠を掴まれたら負け。
それに対する探偵は、名前を知られたら負け。
この証拠と名前を巡る頭脳戦・心理戦の駆け引きがとても面白い。
そのうえ毎回ハラハラドキドキのテンポの良い展開が続いていくため、連載当時は毎週楽しみに読んでいた。
この大場つぐみ氏による1話ごとに計算された読者を飽きさせないストーリー構成には脱帽する。
そしてこの漫画の魅力は小畑健氏の美麗な画があってこそとも言える。
ストーリーも作画もどちらもハイクオリティでサスペンス漫画の傑作だ。
【8位】アイシールド21
凡人が天才に挑むジャンプ王道の熱血アメフト逆転劇!
瀬那は素人ながらも俊足を活かして試合で活躍し、選手として成長を遂げる。
そうして瀬那やヒル魔は仲間たちと全国大会決(クリスマスボウル)を目指していゆく。
画像は『アイシールド21』23巻。村田雄介氏の圧巻の画でアメフトが描かれる。
アメリカでは人気だけど日本ではマイナーなアメフトを題材とした少年ジャンプのスポーツ漫画。
『ヒカルの碁』と同じく「ルールがわからなくても面白い」作品なので、アメフトを知らない人にも自信を持ってオススメできる。
物語は全国大会決勝(クリスマスボウル)を狙う弱小アメフト部に素人の主人公が入部し、持ち前の俊足を活かして活躍する王道展開。
しかしながら主人公をはじめ、仲間たちは一芸に特化した凡人(と言っていいのかわからないが)ばかりで、凡人たちが天才を相手にどう立ち向かうのかという「凡人vs天才」の才能の壁がひとつのテーマとなっている。
そうした凡人たちの天才に対する葛藤のドラマが見所だ。
また少年ジャンプにしては珍しく、異能スポーツバトルではないリアル寄りの試合描写になっている。
しかしながらアメフトに実在する普通の技を、まるで必殺技かのような演出で魅せてくるため、上述したようにルールがわからなくても楽しめる。
稲垣理一郎氏と村田雄介氏のコンビはそこが上手い。
個人的に『スラムダンク』以降のジャンプスポーツ漫画の中ではこれが最も面白かった。
特に20巻~23巻は名試合で必見だ。
【9位】それでも町は廻っている
ノスタルジックな商店街のほんわか日常コメディ!
その歩鳥と老婆のメイド喫茶を中心に、古き良き商店街でドタバタ活劇が繰り広げられる。
画像は『それでも町は廻っている』1巻。一昔前のノリを感じさせるコメディが多い。
文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞や星雲賞を受賞した日常ミステリーSFコメディ漫画。
「藤子・F・不二雄の継承者」と言われたりする石黒正数氏の代表作で、商店街のみんなに愛される愉快な女子高生を中心とした日常が描かれる。
1話1話の起承転結が丁寧で読みやすく面白いし、「こんな街で暮らしたい」と思える古き良き商店街の日常描写も魅力的。
リアルな高校生活を描いた漫画はちょくちょく見かけるけれど、この漫画はそれだけでなくリアルな小学生を描くのも上手い。
そういった描写がノスタルジーを加速させる。
また日常コメディのみならず、作者お得意のミステリーや、藤子・F・不二雄テイストな「すこしふしぎ」のSFも加わってくる。
そのうえ作中の時系列がシャッフルされる仕組みなため、読み直して時系列を理解すると新たな発見が出てくることもある。
1巻だけだとそこまでハマるほどではないのだけど、2巻3巻と続けて読むと、いつの間にかハマってしまう。
そして最後まで読むと、喪失感で切ない気持ちになってしまう。
そんな日常漫画の傑作だ。
【10位】岳
山の厳しさと素晴らしさを描いた心温まる山岳救助漫画!
山と山に来る人を愛する三歩は、いつも明るく元気に山を登りながら遭難者を救助する。
画像は『岳』5巻。遭難救助が間に合わない厳しい現実も描かれる。
マンガ大賞や文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞などを受賞した山岳救助漫画。
登山モノではなく、登山者の遭難救助を通したドラマが描かれる。
主人公は山で暮らしながら山岳救助のボランティア活動をする山男。
そんな主人公が県警山岳遭難救助隊やほかのボランティア仲間と協力しながら、遭難者の救助を行っていく。
しかし遭難者は必ずしも助かるわけではなく、救助が間に合わず、無慈悲にリアルに死ぬ悲しい展開も多い。
だがそれでも、山が大好きで底抜けに明るく優しい主人公が、遭難者を「よくがんばった」と励まし、山の素晴らしさや、登山の楽しさを教えてくれる。
なので読んでいて暗い気持ちになるというよりむしろ優しい気持ちになれる。
登山に興味がある人でもない人でも、ジワッと感動させられる名作だ。
【11位】コウノドリ
出産と命を描いた感激の産科医ドラマ!
日々命の危険と隣り合わせの出産に立ち会ってゆく。
画像は『コウノドリ』2巻。産科医でありながら有名なジャズピアニストでもある主人公。
出産を題材とした産科医漫画。
数ある医療漫画の中でもこれは特にオススメで、出産の知識を得るためにも男女問わず必読の書だ。
主に出産に関するハイリスクなケースを扱っており、出産がいかに命がけで、危険と隣り合わせの行為かがよーくわかる。
これは出産をする女性だけでなく、父親になる男性も知っておくべきこと。
読めば読むほど、母子ともに無事に出産を終えるのは幸運な奇跡なのだなと強く認識させられる。
またほかの多くの医療漫画とは違って、医者同士のドロドロとした院内政治などの人間関係が描かれないのも個人的にはオススメしやすい点。
純粋に医療エピソードに集中して読める。
くどいようだが男性も絶対に読んでおくべき内容だ。
【12位】ダイの大冒険
ドラクエ×少年ジャンプの傑作ファンタジー!
島を訪れた勇者育成の家庭教師・アバンに才能を認められ、勇者になるための特訓を開始する。
しかしかつて勇者に倒された魔王が復活し、ダイたちを襲撃して来ることに……。
画像は『ダイの大冒険』18巻。魔王軍との激しい戦いが描かれる。
少年ジャンプで連載されていたオリジナルストーリーのドラクエ漫画。
「勇者が魔王を倒したその後の世界」を舞台に、次世代勇者一行の冒険が描かれる。
物語は勇者とその仲間たちが魔王軍と戦うという王道ファンタジーで、その冒険と戦いを通して主人公たちは成長していく。
中でも特に、主人公の親友にして魔法使いの少年・ポップの成長が熱い。
編集部から「こいついらないから、早く殺せよ」と言われたほどのヘタレキャラが成長し、人間代表として魔王に立ち向かう姿は必見だ。
また主人公側だけでなく、敵側の成長も描かれる。
最初は卑劣な敵も、主人公たちとの戦いを経て真っ当な武人へと成長し、ライバルとして立ちふさがってくる。
絵は少々古臭いけれど、そうした成長物語が上手いし面白い。
また長編ながらストーリーの完成度も高い。
個人的にジャンプバトル漫画では1・2を争う完成度の高さだと思う。
【13位】幽遊白書
喧嘩最強の中学生が妖怪と戦う格闘異能力バトル!
その死は霊界の閻魔大王も予定外だったため、幽助は人間界で悪さをする妖怪を退治する霊界探偵として蘇ることになる。
画像は『幽遊白書』12巻。主要メンバーの4人。
現在『ハンターハンター』を連載している(?)冨樫義博氏のバトル漫画。
最初は1話完結のオカルトな人情物語としてスタートしたものの、3巻頃からバトル路線に変更。
それからはジャンプお得意のトーナメント戦になったり、ジョジョ風の異能力バトルになったりしつつも、最後にはまたオカルトな日常に戻って終わった。
しかしどの展開を取っても名作で、全19巻とは思えない密度で面白い。
子供の頃はバトル漫画として好きだったが、大人になってから読み返すと、ヒューマンドラマとしても名作だったことに気づかされる。
冨樫氏の凄いところは、少年漫画の熱いバトルを描けて、なおかつ大人向けの青年漫画的なドラマを描けるところにあるのではないかと思う。
そういった点でも、本作は冨樫氏の才能が存分に出た名作だ。
【14位】ピンポン
卓球に打ち込む高校生たちの才能と挫折と成長を描いた青春卓球ストーリー!
一方でペコの親友のスマイルは、いつも無表情で冷めた性格をしており、卓球の実力もペコの陰に隠れていた。
しかし実はスマイルはペコを超える才能を持っており、指導者や実力者たちはそれを見抜いていた。
画像は『ピンポン』5巻。作品ごとに絵柄を大きく変える松本大洋氏だが、今回は細線を多様した黒味の薄いタッチが採用されている。
高校卓球を題材とした『スラムダンク』などと並び称される名作スポーツ漫画。
全5巻ながら無駄なく、才能・挫折・成長・友情のスポ根を詰め込んでいる。
主人公は才能に自惚れて努力をしない少年・ペコと、そのペコを上回る才能を隠し持つが、ペコをヒーローとして慕い、無意識に手加減をしてわざと負ける幼馴染の少年・スマイルのふたり。
スマイルは勝ち負けに興味がなく、高校の部活でもペコの陰に隠れていたが、指導者に才能を見抜かれ、猛特訓の末に全国トップレベルの圧倒的な実力を身につける。
一方でペコは才能にかまけて努力を怠ったことで才能のない努力家を相手に敗北し、また自身を上回るスマイルの真の才能を知り挫折する。
スマイルの才能を前には他の選手たちも心をへし折られていくが、そんな厳しい才能の世界と、その挫折から這い上がるヒーローの物語が熱い青春で描かれていく。
スポーツ漫画としての完成度が高いし、少なくとも短編のスポーツ漫画では間違いなく一番面白かった。
【15位】北斗の拳
核で荒廃した世界を拳ひとつで生き抜くバイオレンス・アクション!
一子相伝の暗殺拳「北斗神拳」の伝承者・ケンシロウは、奪われた恋人のユリアを取り戻すため旅をする。
画像は『北斗の拳』9巻。漢たちの命を賭した闘いが魅力。
「お前はもう死んでいる」の決め台詞で一世を風靡した格闘バトル漫画。
少年ジャンプで3年間にわたり1位を維持し続けた記録を持つ、80年代を代表する作品のひとつだ。
物語の世界観は『マッドマックス2』のように文明が崩壊し、秩序を失ったポスト・アポカリプス。
そんな暴力がすべてを支配する荒廃した世の中で、最強の「北斗神拳」を使う主人公の戦いにつぐ戦いの旅を通して、漢たちのハードボイルドな生き様・散り際が描かれる。
少年誌とは思えないくらい、みんな文字通り命を賭けて戦うし、その結果死んでいく。
主要人物でも驚くほどポンポン死ぬので悲しいけど、それがあるからこそ、いつまでも心に残る名作になっている。
またこの頃の少年ジャンプ漫画は伏線とか設定の整合性とか細かいことは気にせずに、とにかく1話ごとの盛り上がりを重視して、その場の勢いで描き上げられていたのも特徴だろうか。
なので冷静に読むと色々とツッコミどころはあるのだが、その反面、1話1話の内容がとても濃い。
そういった時代だからこそ生まれた熱い漫画とも言える。
スピンオフギャグ漫画の『北斗の拳 イチゴ味』も好評。
【16位】金田一少年の事件簿
IQ180の高校生が難事件を解決するミステリー漫画の金字塔!
幼なじみの頼みで演劇部の合宿に参加するが、合宿先の孤島のホテル「オペラ座館」では恐ろしい事件が待ちかまえていた。
画像は『金田一少年の事件簿』1巻。孤島で起きた殺人事件に挑む金田一少年。
少年誌で推理漫画ブームを生み出した「推理漫画の金字塔」とも言うべき名作。
普段はダメ人間だけど、事件のときだけ天才的な頭脳を発揮するIQ180の高校生が、数々の難事件に巻き込まれつつも、それらを解決に導いていく。
推理漫画だと、本作のヒットを受けて登場した『名探偵コナン』も有名だろう。
比較すると、コナンは小学生向けの軽めなストーリーが多いのに対して、金田一少年は復讐目的の犯人による悲劇的でドラマチックな内容が多い。
恋人や家族を失い、復讐のために犯行に及ぶ犯人。
その動機や想いにはついつい感情移入をさせられてしまうが、そういった犯人を含めたドラマが上手いと思う。
コナンとどちらが良いかは好みの問題だが、個人的には金田一少年のほうが子供も大人も楽しめてオススメだ。
以下は現在連載中の作品。
【17位】GANTZ
死人が異星人と戦わされるデスゲーム・SFアクション!
そこでは同じように死んだ人たちが集められ、謎の黒い玉に武器とスーツを渡されて異星人と戦うよう指示される。
画像は『GANTZ』21巻。死んだ人たちが部屋に集められ、謎の黒い玉に異星人討伐を指示される。
CGによって制作される「3D漫画」で知られる奥浩哉氏の代表作となるSFデスゲーム。
不幸な事故で死んだ一般人たちが再生されて集められ、武器の銃と防具のスーツを与えられて、地球に隠れ住む異星人の討伐ミッションに強制参加させられる。
異星人には強さに応じてポイントが設定されており、ミッションクリア時にそのポイントが100ポイント貯まると、「記憶を消されてゲームから解放」「死んだ仲間を蘇生」「強力な武器を入手」の3つからいずれか1つを選択できる。
100ポイント貯まるまで何度でもミッションに参加させられるし、貯まった後も必ずしも解放を選択することにはならない。
こういったゲーム的設定と選択肢がこの漫画の面白いところ。
また主要キャラクターであっても遠慮容赦なくあっさり無慈悲に殺されてしまうので、ストーリーが予想できず、スリリングな展開に気が抜けない。
だからといってただ残酷なデスゲームというだけでもなく、見知らぬ他人同士で生き残るために協力し、友情・努力・勝利で勝ち抜いていくジャンプっぽい熱い展開も見所だ。
デスゲーム系の漫画では文句なしでこれが最高傑作。
【18位】シグルイ
刀に狂った漢たちの剣豪時代劇!
隻腕や盲目になりながらも戦うこのふたりには一体何があったのか、その因縁の過去が語られる。
画像は『シグルイ』9巻。2人の剣鬼の因縁の戦いが物語の中心。
元ネタは小説の『駿河城御前試合』。
しかし小説の内容はあまり関係なく、それに登場する隻腕の剣士と盲目の剣士の過去を中心に描いた、ほとんどオリジナルのストーリーとなっている。
この漫画は残酷な描写と濃すぎる絵柄で、かなーり読み手を選ぶ。
だが迫真の表現で描かれる壮絶で狂気で凄惨すぎる剣士たちの闘いと生き様は、一度読むと忘れることができない。
そして最後まで一気に読んでしまう魅力がある。
物凄く癖が強いけど、漫画としてはとても面白い。
【19位】プラネテス
宇宙で生きる人々を通して「愛」を語る哲学的SFヒューマンドラマ!
宇宙開発により生まれたスペースデブリ(宇宙空間のゴミ)があふれ、旅客機と衝突事故を起こすなどの社会問題となっていた。
そんな中、デブリ回収業者として働く青年・ハチマキは、いつか宇宙船を所有することを夢見ながらゴミ拾いの日々を送る。
画像は『プラネテス』1巻。事故が原因でパニック障害を引き起こし、自己と語り合う主人公。
『ヴィンランド・サガ』で知られる幸村誠氏デビュー作の宇宙漫画。
SF賞の星雲賞で、『風の谷のナウシカ』以来となる原作・アニメのダブル受賞を達成した作品でもある。
舞台は宇宙開発によって生まれたスペースデブリ(ゴミ)が、旅客機と衝突事故を起こすなどの社会問題を起こしている2070年代。
そんな近未来の宇宙で、デブリ回収の仕事をしながら夢を追い求める主人公の葛藤や成長を通しながら、宇宙に生きる人々のドラマが描かれる。
同じ宇宙を題材とした漫画でも、夢に向かって明るく突き進む『宇宙兄弟』とは異なり、こちらは夢を追う薄暗い狂気的なものを感じさせる。
そのうえ愛や人生観といった思想を語ってくるため、哲学的でやや難解だ。
しかしながら全4巻で完成度の高く、そして読み応えのある大人向けのヒューマンドラマになっている。
これを20代半ばのデビュー作で描ききった作者にはただただ脱帽。
【20位】ジョジョの奇妙な冒険(完結は7部まで)
心理戦×異能力バトルの金字塔!
そのジョースター一族と宿敵の吸血鬼・ディオの、100年に亘る世代を超えた戦いが繰り広げられる。
画像は『ジョジョの奇妙な冒険』第5部。個人的にストーリーは5部が一番良かったと思う。
30年以上連載が続いている長寿のバトル漫画シリーズ。
3部から始まる頭脳戦・心理戦を交えた異能力バトルと、印象に残る独特の台詞回しで、その後の多くの作品に多大な影響を与えた。
現在8部が連載中だが、ストーリーは部ごとにほとんど独立しているため、7部までは完結した作品として読める。
かなりの長編シリーズなので全部を読むのは大変という人には、3部、4部、5部、7部をオススメする。
3部は本作の代名詞とも言える異能力「スタンド」が初登場する回。
個人的にジョジョは1部の時点では打ち切られてもおかしくない漫画で、3部で異能力バトルが始まってから名作になったと思う。
4部は日本の街を舞台とした日常バトル。
能力を悪用する殺人者から街を守るための戦いや、能力者たちの日常が描かれる。
5部はイタリアが舞台のマフィア同士の抗争バトル。
覚悟を決めた漢たちの息をつかせぬ命がけの戦いの連続で、テンポの良いスリリングな展開になっている。個人的に一番好き。
そして7部は19世紀後半のアメリカを舞台とした、壮大な大陸横断の乗馬レース大会バトル。
1部~6部までの一連のストーリーがリセットされているため、ジョジョシリーズをはじめて読む人でも楽しみやすい。
(完結は7部まで)
【21位】グラップラー刃牙
最強を決める地下闘技場の異種格闘技バトル!
「地上最強の生物」と謳われる父親・範馬勇次郎を倒すため、刃牙は強者と闘い最強を追い求める。
画像は『グラップラー刃牙』1巻。試合直前に食事をする有名なシーン。
「格闘技漫画と言えばコレ」というくらいには有名な異種格闘技漫画。
空手、柔道、合気道、ボクシング、レスリングなどなど、様々な格闘技のトップファイターたちによる、地上最強を決める熱き闘いが描かれる。
いまでこそネタ漫画扱いされているが、この初期シリーズの『グラップラー刃牙』の頃は真面目な内容だった。
地下闘技場で最年少チャンピオンに君臨する主人公の試合に始まり、そこに至るまでの幼年期の闘い、そして最強を決めるトーナメントが展開されていく。
特に9巻あたりから始まる幼年編とその後のトーナメント編が面白い。
どこを切り取っても名勝負だらけで、主人公以外の闘いも熱すぎる。
格闘漫画が好きな人なら読んでおくべき名作だ。
外伝も名作なのでオススメ。
またその後もシリーズが続いているので掲載しておく。
個人的に『バキ』の途中までは名作が続いていると思う。
【22位】蟲師
怪異を引き起こす「蟲」とそれを解決する「蟲師」の不思議な雰囲気の和風ファンタジー!
常人には見えない「蟲」への対処を生業とする「蟲師」のギンコは各地を旅し、蟲により引き起こされる怪異を解決してゆく。
画像は『蟲師』1巻。蟲に取り付かれた少年。
文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞などを受賞した和風ファンタジー漫画。
「蟲」と呼ばれる妖怪的な存在がいる架空の江戸~明治時代風日本を舞台に、1話完結の幻想的な物語が描かれる。
例えば蟲は耳を聴こえなくするとか、目を見えなくするとか、夢を現世に伝染させるとか、様々な不可思議な現象を引き起こす。
そういった蟲に取り付かれてしまった人々に対し、各地を旅する専門家の「蟲師」である主人公がそれを淡々と解決するお話になっている。
独特の世界観なものの、山々や村々のノスタルジックな日本の雰囲気が醸し出ていて、読んでいてとても心地良く感じられる。
個人的にお気に入りな和風の雰囲気漫画の傑作だ。
【23位】嘘喰い
高度な頭脳戦が熱いギャンブル漫画の最高峰!
貘はあらゆる賭博を取り仕切る秘密組織「賭郎」の長・お屋形様の座を奪い取るため、命がけのギャンブルに身を投じる。
画像は『嘘喰い』40巻。水中で空気を賭けてルール不明のポーカーをルールを推測しながら行う「エアポーカー」のゲーム。
天才ギャンブラーが仲間たちと協力して命がけのギャンブルを勝ち抜いていくギャンブル漫画。
毎回毎回よくこんなゲームを思いつくなーと感心するくらい、主にオリジナルのゲームを用いて高度な頭脳戦の駆け引きが繰り広げられていく。
この作者は間違いなく漫画家の中で抜きんでて頭がいい。
そのうえこの漫画はギャンブルに勝ってはい終わりではなく、その後に(あるいはその前に)激しい格闘バトルが巻き起こる。
このバトルがこれまた熱く、どちらが本編かわからなくなるくらい力が入ったアクションが描写されていく。
また登場人物たちもひとりひとりが魅力的。
そしてそれらがトップクラスの美麗な画で描かれていく。
ストーリーもキャラクターもギャンブルもアクションも画力も、いずれもが一級品というパーフェクト。
【24位】JIN
江戸時代にタイムスリップした医者が現代医療技術で人々を救い出す!
電気も消毒薬も抗生物質もない世界で、医師南方仁の戦いが始まる。
画像は『JIN』2巻。江戸時代でコレラに立ち向かう主人公。
手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した医療漫画。
昨今流行の異世界作品風に紹介するなら、異世界転移した医者の主人公が、文明の劣る世界で現代医療無双をするお話といったところか。
まぁこの作品は異世界ではなく江戸時代にタイムスリップするお話なのだけど。
主人公は十分な医療環境にない江戸時代で悪戦苦闘しながら、それでも怪我や病から一人でも多くを救おうと奮闘していく。
その主人公が現代医療技術を用いて活躍する様が爽快で、また現代医療技術の凄さにも感心する。
幕末当時の江戸を中心とした文化や社会事情を交えながらストーリーが展開されていくため、そうした歴史を学べる作品としてもオススメだ。
医療漫画としても歴史漫画としても異世界漫画(?)としても名作。
【25位】攻殻機動隊
電脳化・義体化が普及した近未来日本を描いたサイバーパンク漫画の金字塔!
より複雑化していく犯罪に対抗すべく、超法規的な防諜機関・公安9課「攻殻機動隊」が結成される。
画像は『攻殻機動隊』1巻。今ではアニメが有名だが原作はこの漫画。
アニメがとても有名でハリウッド映画化もされた、士郎正宗氏によるサイバーパンク漫画。
科学技術が高度に発展した近未来で起きる犯罪と、それに対応する公安警察組織の活動が描かれる。
舞台は第3次世界大戦と第4次世界大戦が起きたパラレルワールドの21世紀日本。
人間の脳とコンピュータネットワークを直接接続する「電脳化」や、サイボーグ技術の「義体化」などが普及している。
そんな社会で、それらを用いた複雑化していく犯罪に対応すべく結成された特殊部隊が物語の主役となっている。
まぁそういった設定はアニメなどで知っている人は多いかと思うが、漫画版に関しては、1巻あたりというか、1コマあたりの情報量が多いことが特徴だろう。
画像は『攻殻機動隊』1巻。サイボーグメイキングの様子。
とにかく情報の密度が濃い、濃すぎる。
枠外を使ってまでビッシリとSF世界が描きこまれている。
描き込まれすぎていてスマホだと読みにくいかと思うけど、タブレットやPCブラウザならまぁ読める。
アニメ版などよりも、よりコア向けのマニアックな作品といった感じだが、これはこれでSF好きな人にオススメだ。
【26位】BLAME!
どこまでも上へ続く巨大階層都市を探索する圧倒的スケールのサイバーパンク・アクション!
災厄により人類は市民権の「ネット端末遺伝子」を失ってしまい、不法居住者としてAIにより排除されるようになってしまう。
サイボーグの霧亥はこの世界を救う鍵となる「ネット端末遺伝子」を持つ人間を探し出すため、果てしない探索と戦いの旅を送る。
画像は『BLAME!』1巻。果てしなく壮大な都市構造物を探索する。
SF漫画の巨匠・弐瓶勉氏の初期代表作。
どこまでもどこまでも上へ上へと続いていく巨大建築物を、不老不死のサイボーグが黙々と探索していくサイバーパンク世界の冒険物語が描かれる。
舞台はネットワークへのアクセスを可能とする「ネット端末遺伝子」という遺伝子が市民権となった遠い未来。
しかしながらこの「ネット端末遺伝子」が感染により人類から失われてネットワーク社会を制御できなくなり、そのうえ人類はAIから市民権のない不法居住者として排除される対象になってしまう。
そうなってからさらに遠い遠い未来、止めることができない「建設者」により都市構造物が際限なく拡張され続け、地上すべてが建物に覆われる。
そんな中で不老不死のサイボーグの主人公は、この世界を止めることができる「ネット端末遺伝子」を持つ人類を探し出すため、長い年月をかけて巨大都市の階層を上へ上へと探索していく。
・・・・・・という難解な設定でスケールの大きいストーリー。
主人公がほとんど語らず黙々と探索していくので、初見で理解することは至難の業。
私は3周くらい読んで、さらにWikipediaで補ってなんとか理解できた(つもり)。
だけど人類がAIなどに排除される絶望的な世界の中、一途の希望をかけてどこまでも続く巨大階層都市を探索する雰囲気は、ストーリーを理解できなくても十分に楽しめる。
終始緊張感に満ちた独特の世界観は唯一無二のもの。
ついでに同作者の『BIOMEGA』もオススメ。
世界観・雰囲気的には同じ類の作品だ。
【27位】孤独のグルメ
大衆食堂で淡々と食事をするハードボイルドな日常グルメ漫画の金字塔!
いつも独り静かに、誰にも邪魔をされず、孤高の食事で幸福に空腹を満たしてゆく。
画像は『孤独のグルメ』2巻。そこいらの大衆食堂で出される食事を淡々と食べていく。
グルメ漫画が得意な久住昌之氏と、リアルな絵を描かされたら漫画界でもトップクラスに巧い谷口ジロー氏のコンビによる傑作グルメ漫画。
仕事で各地を移動する中年男性の主人公が、仕事の合間にその土地の大衆食堂などにふらりと立ち寄って、独り淡々と食事をする。
ただそれだけなのに、そこで出される食事や、それを食べる主人公の心情がリアルなため、読んでいて味が想像しやすく、美味しそうに思えてしまう
また食事だけでなく、店の情景や客の所作、注文に悩む心理もリアルに描かれるところが面白い。
画像は『孤独のグルメ』1巻。初めて入る定食屋での注文や客の様子。
主人公は初めて入った食堂で何を注文するか悩んだり、注文しようと思っていたメニューがなくてガッカリしたり、後から「やっぱりコレじゃなくてアレを注文すればよかった」と後悔したりする。
そういったところに人間味があって共感ができる。
なにひとつ特別な凄い料理がでるわけでもないのに、とことんリアルな描写におおいに食欲を煽られる。
【28位】もやしもん
農大の楽しい菌類青春コメディ!
農大の変人教授や研究室の仲間たちと共に、祭り好きな大学でキャンパスライフを送りながら菌について学んでゆく。
画像は『もやしもん』12巻。酒造りのうんちくを語る菌たち。
手塚治虫文化賞マンガ大賞や星雲賞などなどを受賞した農大菌類漫画。
なぜか肉眼で菌が見えてしまう新入生を主役とした楽しい大学生活物語でありながら、菌や食について学べる優れた学習漫画でもある。
ついでにお酒中心のグルメ漫画としても楽しめる。
祭り好きな大学で、ノリのいい先輩たちと馬鹿騒ぎをする。
こんな大学生活を送ってみたかったと読んでいてほんと思えてくる。
そして菌については、可愛くコミカルな菌たちを交えながら解説されていく。
特に日本酒だとかワインだとかビールだとかのお酒の話題が多いため、酒好きだとより一層楽しく読めることだろう。
特に学習漫画としてはこれ以上ない傑作なので、学生にも大人にもオススメ。
【29位】ピアノの森
天才少年の活躍を描いた感動のクラシックピアノ漫画!
海は世界的なピアニストの父親をもつ同級生・雨宮修平や、怪我で引退した天才ピアニスト・阿字野壮介に才能を見出され、ピアニストとして挑戦することになる。
画像は『ピアノの森』2巻。ピアノを奏でる主人公。
文化庁メディア芸術祭マンガ部門の大賞を受賞したクラシック音楽漫画。
主人公は森に捨てられたピアノを独学で弾いて育った天才少年。
貧しい劣悪な環境で育てられながらも、怪我で引退した不遇の天才ピアニストに見出されて才能を開花する。
そしてやがて世界へと羽ばたき、コンクールでライバルたちと熱い戦いを繰り広げていく。
と書いていて思ったけれど、これはスポーツ漫画の王道ストーリーなわけか。
しかしそれが音楽漫画でとなると意外と珍しいのかもしれない。
最初から最後まで盛り上がる展開だったし、そのうえ最後のオチもとても良かった。
これは思わずにっこりしながら泣いてしまう。
【30位】こち亀
少年ジャンプで40年間連載された巻数ギネス記録の警察ギャグ漫画!
警察官として型破りな両津は、毎日街で様々な問題を巻き起こしてゆく。
画像は『こちら葛飾区亀有公園前派出所』1巻。初期の頃は劇画的だった。中川が普通にイケメン。
少年ジャンプで40年間にわたり連載され、最終的には200巻で完結し、「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」としてギネス世界記録に認定された偉大な漫画。
趣味や時事ネタを交えながら1話完結していくギャグ漫画になっており、いつどの巻から読んでも安定して面白いのが凄い。
200巻もの大ボリュームなため、漫画を大人買いしたい衝動に駆られたら、これを購入しておけば満たされるのではないかと思う。
【連載中】
【1位】ダンジョン飯
モンスターを調理しながらダンジョンを攻略するリアルなグルメファンタジー!
死んだ仲間を救助&蘇生するためダンジョンに再挑戦したいが、金がなくて食料を用意できない。
そこでライオスは倒した魔物を食べながら進むことを決意する。
画像は『ダンジョン飯』1巻。スライムの構造とその調理法。
ハイファンタジー世界のモンスターの生態を考察し、そのモンスターをリアルに調理して食べるという、ありそうでなかったファンタジーグルメ漫画。
九井諒子氏はそういった現実世界とファンタジー世界の日常を融合させるのがうまい。
主人公たち冒険者一行はダンジョンにもぐり、モンスターと戦い、そのモンスターの生物としての弱点を突いて倒す。
そうした戦い方もまた一種のリアリティがあるが、それもモンスターの生態をしっかり考察しているからできること。
そして倒したモンスターは調理して食べる。
モンスター料理というとゲテモノに思われるかもしれないが、現実の料理に当てはめて調理されているため、これがまた美味しそうなのだ。
画像は『ダンジョン飯』1巻。人喰い植物のタルト。
ついでにレシピも掲載されている。
残念ながらこちらの世界では作れないけれど。
ストーリーはコメディとしてクスッと笑えるところが多い。
途中からはシリアスなダンジョン攻略要素が強くなってくるものの、そのダンジョン設定もまたリアリティのある考察がなされているため、それはそれで面白い。
大人向けのファンタジーとして文句なしでオススメ。
【2位】宇宙兄弟
夢を追う大人たちの宇宙飛行士ヒューマンドラマ!
弟の日々人はそのまま夢を追い続けて宇宙飛行士になるが、兄の六太は大人になるにつれて夢を諦めてしまう。
しかし会社をクビになり、さら弟に後押しされたことで、六太も再び宇宙飛行士を目指すことを決意する。
画像は『宇宙兄弟』1巻。幼い頃に宇宙を夢見た兄弟。
小学館漫画賞や講談社漫画賞や手塚治虫文化賞読者賞を受賞した宇宙飛行士漫画。
宇宙飛行士を目指す主人公のサクセスストーリーを中心に、宇宙飛行士の弟や、宇宙に夢を持つ大人たちのドラマが描かれる。
主人公は弟と共に宇宙飛行士を夢見るが、途中で諦めて普通に就職する人生を歩む。
一方で弟は夢を諦めず宇宙飛行士になり、世界最年少で月面探査のクルーとして選ばれ、日本人初となる月面歩行者としても注目される。
そんな偉大な弟を持つ主人公が、一度は諦めた夢を再び追うことを決意し、宇宙飛行士の選抜試験を受けることから物語は始まる。
作中で登場する団体は、NASAやJAXAといった宇宙関連の実在団体。
宇宙飛行士になるための選抜試験や、宇宙飛行士の訓練、宇宙での任務など、宇宙飛行士の内容がリアリティを持って描かれており、それらの試験や任務などをチームで協力して乗り越えていくところが面白い。
また天才肌の弟に劣等感を抱いたり、細かいことを気にする神経質で繊細な性格の主人公には人間としての魅力があり、応援したくなる。
そしてその主人公が試練をひとつずつ乗り越え、夢を叶えていく様は読んでいてモチベーションが上がってくる。
大人たちが夢を叶える明るい漫画なので、老若男女問わずオススメできる。
(※進行はモノクロ版のほうが早い)
【3位】BLUE GIANT
真っ直ぐな青年が世界一のジャズプレイヤーを目指す感動の音楽ストーリー!
そうして大は、出会う多くの人たちに助けられながら、世界への道を立ち止まることなく突き進むこととなる。
画像は『BLUE GIANT』1巻。河原で演奏をする主人公。
『岳』の石塚真一氏による、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞などを受賞したジャズ漫画。
世界一のジャズプレイヤーを目指す青年が、地方から東京へ、そしてヨーロッパ、アメリカへと羽ばたいていくサクセスストーリーが描かれる。
音楽漫画だとピアノやロックバンド、吹奏楽などはちょくちょく見かけるけれど、こちらはジャズのサックスを題材としているのが珍しいところ。
しかしジャズをまったく知らなくても、主人公の音楽の熱意、凄さ、そして聴衆が圧倒される様がしっかり伝わってくる。
と書いていて思ったけど、「何かよくわからないけど凄い」と伝える巧さは『ヒカルの碁』に近い感じだろうか。絵から音楽が聴こえてくるようだ。
また『岳』でもそうだったように、人の優しさ、温かさを感じられるエピソードも見所だ。
『岳』では主人公が優しさを与える側だったが、こちらは主人公が優しさを与えられる側になる。
世界一を目指してひたむきに頑張る主人公を周囲が支える様にはジワッと感動させられる。
個人的にはいままで読んだ音楽漫画のなかで、いまのところは最高傑作だ。
【4位】乙嫁語り
中央アジアの生活文化を森薫氏が絢爛豪華に描き出す!
街に定住するエイホン家の跡継ぎである12歳の少年・カルルクのもとに、遊牧民のハルガル家から20歳の花嫁・アルミが嫁いでくる。
歳の差の結婚生活に慣れないふたりだが、周囲の支えもあり緩やかに仲を深めてゆく。
画像は『乙嫁語り』1巻。装飾品・工芸品などの綿密な描き込みが魅力。
マンガ大賞や、フランスのアングレーム国際漫画祭世代間賞を受賞した中央アジア文化漫画。
19世紀の中央アジア、カスピ海周辺の地域(ウズベキスタンとか)を舞台に、家同士の結婚および結婚生活を中心とした定住民や遊牧民の生活文化の模様が描かれる。
作者の森薫氏といえば、イギリス・メイド漫画の『エマ』や『シャーリー』で装飾品に対するこだわった描き込みを行い、高い評価を受けた漫画家。
それは今作でも健在どころかさらにパワーアップしており、衣装や布地、装飾品、工芸品などがこれでもかと綿密に描き込まれている。
絢爛豪華な装飾が好きな人にはたまらない作品だ。
またストーリーでは歳の差夫婦の新婚生活を中心とした日常が展開される。
結婚から始まる物語ではあるものの、その土地の文化を紹介するという側面が大きいため、恋愛漫画が苦手な人でも読みやすい。
美しい世界観なので男女どちらにもオススメできる。
【5位】ベルセルク
重厚で壮大な世界観のダークファンタジー漫画の金字塔!
道中で出会った妖精・パックと共に、各地で巨大な怪物「使徒」を追い、狂戦士のような戦いを繰り広げる。
画像は『ベルセルク』40巻。壮大なダークファンタジーの世界観が魅力。
「ダークファンタジーといえばコレ」と断言できるくらいには有名な、世界的に人気の剣と魔法のダークファンタジー漫画。
中世ヨーロッパ風の世界を舞台に、身の丈を超える大剣を携えた黒い剣士・ガッツの壮絶な復讐の旅が描かれる。
主人公がとある相手に復讐をしようとするストーリー自体は珍しくもなんともない。
しかしこの作品では、その復讐相手が神に等しい存在で、それに対して主人公は強い剣士なだけでただの人間に過ぎないという、絶望的なまでの戦力差が珍しい。
どうやって決着をつけるのか予想ができないレベルで絶望的だ。
絶望的といえば、特に12~13巻は漫画史に残る絶望シーンで必見だ。
子供の頃に読んだときはちょっとしたトラウマものだった。
そして残虐で暗澹としながらも、緻密に描き込まれた重厚な絵で表現された壮大なファンタジーの世界観も必見。
作者が描き込みを頑張りすぎて連載がしょっちゅうストップするのがネックだが、それだけ世界観の描き込みが凄い。
ダークなハイファンタジーが好きなら一度は読むべき作品だ。
【6位】喧嘩商売/喧嘩稼業
最強の格闘技を決めるヘビー級選手たちの本格格闘漫画!
それぞれの分野で最強のファイターたちが、最強の格闘技を決めるトーナメントで雌雄を決する。
画像は『喧嘩稼業』1巻。最強を決めるトーナメントの選手たち。
『幕張』で知られる漫画界のお騒がせギャグ漫画家・木多康昭氏による、まさかの本格格闘漫画。
たぶんこれがうまくいくと思っていた人なんて読者にも編集部にもほとんどいなかったのではないかと思うが、実際には驚くことに物凄く面白い。
正確にいえば面白くなるのは6巻からだが。
主人公は恵まれた身体能力と悪魔的な頭脳を用いて喧嘩をする高校生。
主人公の体格が恵まれた格闘技漫画というのも珍しいが、そのうえ主人公は抜きん出て頭が良く、その頭脳を駆使して戦術や心理戦で戦いを有利に運んでいくのがほかの格闘技漫画では見られない面白さになっている。
そしてその主人公の成長と戦いを交えながら、空手や柔道、ボクシング、キックボクシング、総合、古武術などの各格闘技・流派の国内最強の選手たちが集まり、最強の格闘技を決めるトーナメントが行われていく。
このトーナメントも選手ひとりひとりが魅力的でどの戦いにもドラマがあり、しかも誰が勝つのか予想がつかないので先が気になって仕方がない。
『餓狼伝』に影響を受けた格闘技漫画の最強トーナメントというと『グラップラー刃牙』や『修羅の門』が有名だが、それらと比べても抜きん出て面白い。
『グラップラー刃牙』や『修羅の門』ほどファンタジーではなく、かといってリアルすぎる面白みのない戦いでもない、そのバランスが優れている。
いままで読んだ格闘技漫画の中で間違いなくナンバー1。
【7位】ワンピース
累計4億6000万部以上でギネス世界記録の海賊大冒険漫画!
新米海賊の少年・ルフィは海賊王を目指し、仲間を集めて大航海の冒険に旅立つ。
画像は『ワンピース』1巻。大いなる旅の第一歩を踏み出すルフィ。
これ紹介いる?と言いたくなるほど有名な日本一売れている漫画。
船に乗って仲間と世界中をまわる壮大な旅。
個性的な土地や国でのワクワクする冒険。
泣けるエピソードや、熱いバトルでの巨悪を倒す爽快感。
少年漫画らしい面白さが詰まった傑作だ。
ストーリーは1話目から掴みが完璧。
そして大長編ながらも、構想がしっかり練られているため全体の完成度が高い。
また泣けるエピソードもうまい。
訪れる先々で必ずひとつ泣けるエピソードを持ってくるが、それがわかっていても毎回泣ける、感動する。
まぁあえて欠点を述べるなら、巻数が長すぎて追いかけるのが大変なことか。
しかし1~23巻まででひとつの大きな話がキリ良くまとまっているので、とりあえずそこまででもオススメしておく。
(※進行はモノクロ版のほうが早い)
【8位】ハンターハンター
異能力バトルの冒険ファンタジー!
まだ見ぬ父親が優秀なプロハンターであることを知ったゴンは、数百万分の一の難関と言われるプロハンターの試験を受けるため故郷を旅立つ。
画像は『HUNTER×HUNTER』1巻。ハンターを目指して旅立つ主人公。
休載でよくネタにされる冨樫義博氏のバトル漫画。
しかし最も競争の激しい少年ジャンプの作品でありながら、いくら休載しても許されるくらいには人気が高いし面白い。
命がけのサバイバルにはじまり、闘技場での異能力バトル、オークション会場と盗賊団、ゲーム世界でカードゲームバトル・・・・・・などと、数巻ごとにストーリーの展開がガラッと変わってくる。
だからどういった漫画かを紹介するのが意外と難しい。
一応初期の頃は王道の少年漫画だったのだが、徐々にキャラクターが自由に動き出し、展開の予測ができない意外性のあるドラマを生み出していく。
その予測不可能なところに魅力があるのだろう。
また普通ならそこまで描かれない敵側のドラマにも力が入っている。
場合によってはむしろ敵側のほうが主人公なのではないかと錯覚しそうになるが、そういったのも少年漫画らしくないところか。
そしてドラマ性だけでなく、バトル漫画としても異能力バトルの設定が面白い。
冨樫氏はワクワクする設定を生み出すのがうまいが、個人的に異能力バトルの設定の中ではこれが一番好み。
総じて、ユニークな異能力バトルでありながら、大人好みのドラマも生み出す、王道と邪道を混ぜ合わせた濃い少年漫画。
(※進行はモノクロ版のほうが早い)
【9位】ゴールデンカムイ
アイヌの財宝をめぐるアイヌ文化×冒険サバイバル!
幼馴染の治療費のために大金を求める元陸軍兵の杉元佐一は、偶然にもアイヌが秘蔵していた金塊と、その隠し場所の鍵を握る囚人たちの存在を知る。
杉元はアイヌの少女・アシㇼパと共に、同じく金塊を狙う陸軍や囚人たちと三つ巴の争いを繰り広げる。
画像は『ゴールデンカムイ』1巻。熊との戦いもリアルに描かれる。
マンガ大賞や手塚治虫文化賞マンガ大賞などを受賞したアイヌ冒険サバイバル漫画。
明治末期の北海道を舞台に、隠された金塊を巡る三つ巴の冒険サバイバルを通して、アイヌの風習・文化が描かれる。
特にアイヌ文化の紹介をしている漫画は珍しいため、それだけでも読む価値がある。
狩猟や料理を中心に、アイヌの風習・文化をリアル表現しており、アイヌ文化に興味を持つ良いキッカケになる作品だと思う。
また金塊を巡る争いも徐々に白熱し、先が読めない三つ巴の争いが面白くなっていく。
さらに金塊を隠した犯人に関するミステリー要素も強まり、どんどんストーリーが楽しみになる。
冒険あり、バトルあり、ギャグあり、歴史あり、アイヌ文化あり、ミステリーありと、様々な要素が詰め込まれたごった煮のような漫画だが、それらをとてもうまくまとめている。
【10位】進撃の巨人
人類と巨人の絶望的な戦いを描いたダークファンタジー!
生き残った人たちは巨大な壁の内側での生活を強いられるが、しかし巨人によりその壁も壊され、人類は再び滅亡の淵に立たされる。
画像は『進撃の巨人』1巻。次々と巨人に食い殺されていく仲間たち。
連載開始時から話題を呼び続けるダークファンタジー・アクション漫画。
巨人と戦う人類のドラマや、世界の謎を追うストーリーが描かれる。
舞台は正体不明の人喰い巨人の脅威に晒された人類が、強固な壁に護られた街の中で暮らすようになった世界。
壁のおかげでなんだかんだ100年間平和だったが、その壁が破られ、再び巨人の脅威に晒されるようになったところから物語は始まる。
人喰い巨人に襲われるという、一見するとよくあるグロいパニックホラーな展開に思えるかもしれない。
しかし実際には絶望的な状況で足掻く熱いドラマと、世界の謎を解明していく重厚なストーリーの作品になっている。
特に次から次へと謎を呼び、その後も二転三転したスリリングな展開が続いていくストーリー構成がうまい。
この手の漫画は序盤がピークで徐々に面白くなくなっていく場合がほとんどなものだが、本作は連載開始時から終盤まで、10年以上も読者を飽きさせず、話題を呼び続ける展開を描けているのが凄い。
しかも先が気になる驚愕の展開の連続ながら、決してストーリーが破綻することはなく、むしろしっかりと伏線を回収しつつ壮大な物語としてまとめあげている。
長編でこれは『鋼の錬金術師』に匹敵するストーリーだと思う。
初期の絵は正直下手だけど、漫画としては面白い。
【11位】キングダム
一兵卒から秦の大将軍を目指す乱世バトル!
戦災孤児で下僕身分の少年・信は、秦国の大将軍を目指して乱世に身を投じ、戦場で手柄を立てて成り上がってゆく。
画像は『キングダム』13巻。敵将を討ち取り活躍する主人公。
手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した歴史バトル漫画。
古代中国の春秋戦国時代末期を舞台に、後に始皇帝となる秦王政と共に戦う少年・信(李信)の活躍を中心とした群像劇が描かれる。
というわけで、主人公は後に秦の大将軍となる李信。
この李信が最下層民の下僕だったという設定の少年時代から始まり、後に中華全土を統一して始皇帝となる少年時代の秦王政と出会い、一兵卒から戦場で成り上がっていく王道のサクセスストーリーとなっている。
一応中国の歴史モノではあるのだけど、内容的にはほぼほぼバトル漫画なため、ジャンプらしさがあって読みやすいのが人気の秘訣だろう。
一騎当千の武将たちのド派手な戦いが見所で、それらの武将同士の激しいバトルや、主人公などの若手が武将相手に奮闘する様が少年漫画的な展開で熱い。
大きな夢を持った主人公が強敵を倒して出世していくという点では『ワンピース』に近いだろうか。
しかしながら個人で戦うのではなく、あくまでも組織で戦っていくところに大人向けの青年誌的な面白さもある。
ジャンプバトルと青年誌をうまくミックスさせた納得の人気作。
【12位】ヴィンランド・サガ
ヴァイキングと奴隷と新大陸への冒険を描いた中世ヨーロッパ・冒険アクション!
ヴァイキングに父親を殺された少年・トルフィンは、ヴァイキングの一味に加わり戦場で手柄を立てながら、仇である首領の首を狙い続ける。
画像は『ヴィンランド・サガ』1巻。奴隷のいない平和な国を望む奴隷の女性。
『プラネテス』の幸村誠氏による、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞などを受賞した中世ヨーロッパ歴史アクション漫画。
11世紀北ヨーロッパの史実をもとに、ヴァイキングによる戦争や略奪、奴隷の生活、ヴィンランド(北アメリカ大陸)への冒険が描かれる。
主人公のモデルは11世紀に実在したと言われる、ヴィンランドへの定住計画を企てたソルフィン・ソルザルソンという人物。
そのソルフィン(作中では”トルフィン”)がどういう経緯でヴィンランド遠征を行うようになったのか、そして結果どうなったのかを追うのがストーリーの大まかな流れとなっている。
まぁほぼ史実とは関係のない創作なのだけど。
そうした史実云々は別にしても、中世ヨーロッパやヴァイキングなどの描写にはリアリティがあり面白い。
戦争と略奪が生活の一部で、戦いの中で死んでヴァルハラへ導かれることを願うヴァイキングたち。
そんなヴァイキングにより踏みにじられていく村人たちや、奴隷にされる人たち。
そんな狂気の時代がよく表されている。
リアルな中世ヨーロッパを感じたい人にオススメの作品。
【13位】ヒストリエ
アレクサンドロス大王に仕えた名将・エウメネスの生涯を描く壮大な歴史大作!
マケドニア王国のアレクサンドロス大王に仕えた書記官・エウメネス、その波乱に満ちた生涯が描かれる。
画像は『ヒストリエ』1巻。インターネットミームで有名なシーン。
『寄生獣』の岩明均氏による、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞と手塚治虫文化賞マンガ大賞のダブル受賞を果たした古代ギリシア歴史漫画。
主人公はアレクサンドロス大王に仕えた書記官にして、その後の継承戦争であるディアドコイ戦争を戦ったエウメネス。
まぁ名将ながらも味方に足を引っ張られ続けた不遇な人。
そんなエウメネスの未詳の前半期を創作しつつ、エウメネスの活躍を通した古代ギリシア史が描かれる。
岩明均氏は『寄生獣』も名作だったけど、こちらも負けず劣らずの名作。
ストーリーは地味だし絵も特別うまくはない。でもなぜか面白い。
これはもう漫画がうまい」としか言いようがない。
世界史に興味がなくても楽しく読める漫画かなと思う。
【14位】アオアシ
プロを目指すユースのリアル志向戦術サッカー!
当初は周囲との技術の差で苦悩するアシトだが、厳しい練習や実践を通して次第に技術と戦術を身に付け、才能を開花させてゆく。
画像は『アオアシ』6巻。サッカーの技術や戦術がわかりやすく丁寧に描かれる。
Jリーグのユースを題材としたリアル志向の戦術サッカー漫画。
プロを目指す少年たちの熱い青春が描かれる。
主人公は全体を俯瞰できる優れた才能を持っているが、技術がなくてそれを活かせない弱小中学サッカー部の選手。
その才能を強豪ユースのカリスマ監督に見出され、ユースの編入試験を受けるところから物語は始まる。
このユースが舞台というのが珍しいところ。
ユースというのはプロを目指す高校生の年代が所属するプロクラブの下部組織で、ここで実力を見せるとプロへと昇格できる。
よくある部活モノだと全員で協力して全国大会を目指していくが、本作は「チーム全員がプロを目指しているライバル」という過酷な競争環境。
部活スポーツとは違ったちょっとギスギスした展開や、部活サッカーとの対決なども表現される。
また主人公の成長を通して、サッカーの個人技やチーム戦術を言語化しているのも評価が高いポイント。
今まではサッカー漫画を読んでいても「よくわからんけどスゲー」くらいで流していたところを、とてもわかりやすく読みやすく解説している。
そうしたリアル志向の戦術サッカー漫画でありながら、少年漫画的な王道の熱いストーリーになっているため、個人的にはいま一番好きなスポーツ漫画だったりする。
【15位】リアル
『スラムダンク』の井上雄彦氏が描く障害者のヒューマンドラマ!
バスケ一筋だったがバイク事故を起こして高校を退学させられ、生き方を見失った青年・野宮。
自尊心の高い性格で他人を見下していたが、交通事故により下半身不随になってしまった青年・高橋。
この3人を中心とした物語が展開される。
画像は『リアル』1巻。車いすバスケも見所のひとつ。
『スラムダンク』で知られる井上雄彦氏による、障害者と車いすバスケを中心とした群像劇のヒューマンドラマ。
例えば主人公のひとりの戸川は、中学では陸上の全国選手だったが、骨肉腫により片足を切断し、車椅子での生活を余儀なくされる。
そのことで塞ぎこんで引きこもりになってしまうが、しかし車いすバスケと出会ったことで立ち直り、競技者として車いすバスケに打ち込むようになっていく。
そういった病気や事故により健常者から障害者になった人たちの、葛藤や新たな人生の歩みが描かれる。
『スラムダンク』とは違って話がかなーり重い。
だがこれを読むと、そういった障害者たちのリアルが身近にあることや、自分がいつ健常者から障害者になってもおかしくないということを認識させられる。
なので是非一度は読んでおくべき漫画。
【16位】GIANT KILLING
カリスマ監督が主役のサッカー漫画新機軸!
古巣の弱小プロクラブの新監督に就任した達海は、クラブを建て直して大番狂わせの勝利へと導いてゆく。
画像は『GIANT KILLING』3巻。日本のサッカー界を面白くすると宣言する主人公。
選手ではなく監督が主役のプロサッカー漫画。
主人公は怪我により若くして引退した元日本代表のエース選手。
引退後はイングランドでアマチュアチームを率いてプロを相手に大番狂わせをするという、監督しての才能も発揮する。
そんな主人公が日本での選手時代に所属していたプロクラブの監督に就任することから物語は始まり、万年J1最下位争いにまで落ちぶれたチームを建て直し、試合で大番狂わせを巻き起こしていく様が描かれる。
主人公は監督なので当然ながら選手としては活躍しないわけだけど、カリスマ性あふれる個性的なキャラなので、十分に漫画として面白くなっている。
またプロとしてフィールドに生きる選手たちだけでなく、サッカークラブのフロント(経営陣)から地域のサポーターまで、サッカーに関わる様々な人たちにも焦点が当てられていく。
そのため「漫画としての面白さ」だけでなく、「サッカーの面白さ」も理解できてくる。
読むとサッカー観戦がしたくなる、大人向けのスポーツ漫画。
【17位】チェンソーマン
少年ジャンプで異彩を放つダークヒーローアクション!
チェーンソーの悪魔に変身する力を手に入れた薄幸な少年・デンジは公安に拾われ、公安所属のデビルハンターとして悪魔と戦う日々に身を投じる。
画像は『チェンソーマン』3巻。嬉々として悪魔を切り刻むクレイジーな主人公。
少年ジャンプらしからぬ作風で話題のダークヒーロー・アクション漫画。
現代日本で悪魔と戦う公安のデビルハンターたちの物語が描かれる。
主人公は父親の借金を背負い、自身の臓器を売るほど貧乏な生活を送る不幸すぎる少年。
なんやかんやでチェンソーの悪魔へと変身する能力を手に入れたことで、対悪魔の公安に所属するミステリアスな女性に拾われ、デビルハンターとして悪魔と戦うことになる。
この1話目の完成度が高いことと、少年ジャンプらしからぬグロテスクな描写やダークな世界観により、SNSを中心に話題になった。
しかし本当に凄いのは3巻からで、そこからアッと驚く怒涛の展開がスタートする。
3巻を境に魅力的な主要人物でもアッサリ死ぬ大胆で予測不可能でスピード感のある物語が描かれていき、毎週のように読者を愕然とさせてくるし、たまに絶望に落としてくる。
最近の少年ジャンプだと『鬼滅の刃』もテンポがいいと思っていたが、これはそれを遥かに上回るジェットコースター的なテンポの良さだ。
映画っぽい魅せ方で描かれているのを見るに、映画一本分のストーリーを2巻くらいでまとめている感じだろうか。
大人にオススメの少年ジャンプ漫画。
【18位】ブルーピリオド
美術に目覚めた高校生が東京藝大を目指す本格美術ストーリー!
しかし一枚の絵に心を奪われ、さらに授業中に真剣に描いた絵が褒められたことで美術にハマり、狭き門の東京藝術大学を目指すことを決意する。
画像は『ブルーピリオド』2巻。ライバルの言葉に刺激されて感情を込めて描く主人公。
マンガ大賞を受賞した美術漫画。
よくある美大が舞台の美術とはあまり関係のないゆるい青春物語ではなく、初心者が本気で絵に取り組む熱い青春物語。
主人公は不良なのに成績優秀な高校生で、あるとき絵を描く楽しさに目覚めて美術部に入部する。
進学も美大を希望するが、金銭面で私大は厳しいため、唯一の国立にして最難関の東京藝術大学を目指して奮闘することになる。
そういうわけで美大受験について本格的に描かれるのが見所(物語は受験後も続くけど)。
高校2年生という他の人たちより遅れたスタートのため、主人公には常に余裕がなく苦悩と葛藤が付き纏うが、そういった内面もリアルに描写されているのが面白いところ。
また主人公は美術についてまったくの初心者なこともあり、ちょくちょく美術に関する解説も挟まれていく。
そのため美術の知識がない人でも、わかりやすく楽しめるようになっている。
高校生の頃にこれを読んでいたらたぶん美大を選択していたと思う。
【19位】異世界おじさん
異世界帰りセガ好きYouTuberおじさんのファンタジーコメディ!
なんとか現実世界に帰ってきたら、現実世界では17年間昏睡状態になっており、さらに親族一同に引取を拒否される。
それでもめげずに魔法の力を活用してYouTuberになり、甥っ子と共同生活をしてゆく。
画像は『異世界おじさん』1巻。異世界へ行ったら醜い容姿からオークと勘違いされ、殺されかけた悲惨な話をサラッとするおじさん。
昨今流行の異世界転移・転生モノのお約束を逆手にとったラブコメ(?)漫画。
異世界から現実世界に帰還したおじさんの日常や、異世界での過去話が描かれる。
主人公は17歳のときに異世界に召喚され、それから17年間冒険をする。
しかし帰還してみたら、現実世界ではトラックにはねられて17年間昏睡状態。
しかも親族は昏睡状態の主人公の処遇を巡って争ったあげくの一家離散。
という辛い境遇ながらも、なんだかんだYouTuberとして甥っ子の青年と楽しく共同生活をしていく日常コメディ。
17年間異世界にいた浦島太郎状態のおじさんによるジェネレーションギャップネタや、セガがゲームハード競争に参入していた時代に生きたセガ信者のおじさんによるセガネタが面白い。
また日常生活の合間に異世界で起きた出来事がポツポツと語られていくが、その内容は容姿の違いからオークと間違えられて殺されかけたりと悲惨なもの。
さらに異世界で助けたツンデレヒロインから好意を寄せられるが、2000年当時に「ツンデレ」という概念がなかったせいで、おじさんはツンデレヒロインの想いに気づかずフラグをへし折っていくのも面白い。
まぁ最近はラブコメ要素が強くなっている気がするけど、個人的に初期の頃のギャグが結構笑えた。
たぶん30~40代くらいの人に刺さると思う。
【20位】ゆるキャン△
女子高生たちがゆるく楽しくキャンプ!
なでしこはリンのと出会いをきっかけにキャンプに興味を持つようになり、高校の同好会「野外活動サークル」に入部し、キャンプに出かけるようになる。
画像は『ゆるキャン△』8巻。キャンプ場までの道中の移動も描かれる。
キャンプブームを牽引するキャンプ漫画の金字塔。
キャンプ好きな少女たちがソロやグループでカジュアルにキャンプをする模様が描かれる。
ふたりの主人公の視点で進行していき、片方はひとり静かに気ままなソロキャンプをする。
もう片方は初心者視点で、部活を通してみんなでワイワイ賑やかにキャンプをする。
どちらもキャンプ・旅行の雰囲気が出ていて良いのだけれども、個人的にはソロキャンプの描写がお気に入り。
人の少ない冬の時期に、スクーターで移動をしながら道中で食事をしたり、寒さを温泉で癒したりしつつ、静かに風景を眺めながらキャンプをする。その描写に憧れてしまう。
またキャンプ用品の紹介などもされていくので、キャンプの入門書としても悪くない。
ついでにキャンプ料理も美味しそう。
画像は『ゆるキャン△』3巻。豚まんをホットサンドメーカーで調理。
焼き豚まんとか食べてみたい。
ドラマチックなストーリーがあるわけではないけれど、丁寧で楽しそうなキャンプ描写なため、読むとキャンプがしたくなってくる。
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